債権回収の現場
岡崎 昂裕
角川書店 刊
発売日 2002-07
クレジット会社に借金を抱え、首が回らなくなった不良債務者たち。彼らに返済を促すのが、債権管理担当者の役割である。一般的には、暴力的で有無を言わさずに取り立てる、極悪非道な人間のイメージができあがっている。しかし、本書を読むとそれはまったくの誤解で、支払いを怠っている顧客と話しあい、打開策を見いだしながら、なんとか正常な顧客として立ち直らせようとしていく担当者の苦心がうかがえる。
著者は、大手信販会社に13年間勤務し、一貫して債権管理や回収に携わってきた人物。好成績を維持していたとはいえ、最後は無呼吸症や呼吸困難に見舞われたというから、その業務のストレスには計り知れないものがあっただろう。
本書には、債権回収者側から見た、現場の真実が描かれている。債務者との交渉の様子が事細かに描写されているほか、ずさんな審査体制、マルチ商法と信販会社との因縁、バックマージンをめぐる談合など、業界の内部告発的な部分にも多くの紙幅が割かれている。ゆがんだ企業論理と多重債務者の板挟みになって苦しむのは、ほかならぬ債権管理担当者なのだ。
債務者も人間なら、回収するのも人間である。バブルの夢から立ち直ることができずに借金を重ねた人、連帯保証人になったばかりに借金を肩代わりしなければならなくなった人、そして、おのれの命を賭けて、生命保険で後始末をした人…。金にまつわるエピソードに、楽しいものは何ひとつない。それだけに、やるせない読後感が残る。(朝倉真弓)
読みやすく大勢の人に読んで欲しい本 2004-09-20
最初難しい本なのかな?自分に理解出来るだろうか?
不安を抱きながら、読み始めてみたが理解しやすく解説されており
読み始めてからは一気に読めてしまいました。
自分とは縁遠く関係のない世界。そう最初は思っていたけど。。。
子供の医療費が足りず、最初はほんの少額を借りてしまった夫婦の話。
生活も慎ましく堅実で頑張っているのに!「ほんの少額」と軽い気持ち
で借りてしまった為に債務に喘ぎ苦しんでしまう。
誰にでも債務者になってしまえる可能性が大きい事を知りました。
作者の御尽力で救われる人。そうでない人。色々な話がありますが
債権者・債務者、共に人間でどちらの立場に居ても人としての真価が
シビアな事柄だけに問われてしまう。。。
とても切なくなってしまう話も多いけど、人間味溢れる作者の方の
気持ちが、ひしひしと伝わってきて暖かい気持ちにもなりました。
経済社会に身を置く者なら、会社員だろうが、主婦であろうが
フリーターであろうが。。。難解な本ではないので一度は手に取り
じっくり読んでみる価値のある本だと思います。
債務者ではなく債権者に読んで欲しい一冊 2003-11-14
信販会社の管理課で債権回収に携わってきた著者が、自身の実務経験を基に信販会社での債権回収業務とはどのようなものか人間ドラマを交えて赤裸々に語っています。債権者は「顧客」を「債務者」に変えてしまうという力を持つので、いかにして「債務者」がいかにして自発的に債務を返済させるかという苦悩が感じられました。メガ・バンクを筆頭に銀行などの金融機関が自分たちの経営基盤しか考えずに貸渋りや貸剥がしてを横行させている昨今、市井の顧客の視点に立った融資というものを考えるにも有益な一冊だと思います。
マニュアルにない債権回収 2003-10-01
著者はある信販会社の元債権回収業務であった。最初は「払え払え」と
言っていたが、担当のある債務者が生命保険で残債を支払ったときから
これまでのやり方に疑問を感じる。
それ以降、彼は「債務者を生かす回収」を心がける。
「払えない・・・」から交渉が始まり、担当する者の話をじっくり聞く。
彼らの生活が破綻せずに借金を返す方法を考える。
ここで切った方が彼らの傷口が大きくならないと思ったときは、弁護士にも意見する。
そこには機械のような冷酷さもなく、言葉の暴力でもなく、人間と人間との相対と葛藤があった。
やがて著者は信販会社を辞めることになるが、現在作家として「失踪する人々」
「「宝くじ」高額当せん者」など人生についてのルポを中心とした本を
?!??しているのはこのときの経験からだろう。
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